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2020/04/12 22:47

伝説の秘境にUターン

秘境と呼ばれ、平家の落人伝説もある宮崎県椎葉村(しいばそん)。人口約2600人(2019年6月1日現在)の山間の村です。名物はそば。古くから地元の人々に愛されてきました。このそばを使って椎葉村を盛り上げるお菓子があります。その名も「蕎麦の実フロランタン」。地元のそば粉やそばの実をメインの食材として、その他の素材も宮崎県産にこだわって作っています。



椎葉村は四方を山に囲まれ、美しい棚田が絶景とも言われる山間の村。壇ノ浦の戦いで敗れた平家の落人がこの地に住み着いたとの伝説があり、村内には多くの史跡があります。また伝統的にそばをよく食べる文化のある椎葉村では、そばの栽培が盛んであるものの、ほぼ村内で消費されてしまうため、椎葉村産のそばは村外の人にとっては非常に希少価値の高いものになっています。


この地に生まれ育った私、椎葉昌史は、大学進学以降30歳まで椎葉村を離れていましたが、2012年にUターン。2010年に母と叔母が地元で「よこい処しいばや」というそば屋を開店したことがきっかけでした。



農業未経験からの蕎麦栽培への挑戦


しかしある日、いつものように店で使うそば粉を仕入れに行くと品切れ。役場に問い合わせたら椎葉村での生産量がピークの半分以下になっていると・・・。このままでは地元産のそばがなくなってしまう、という危機感から、自分でそばを育てることに。しかし、私は農業未経験。草刈りすらしたことなかったのですが2015年、友人たちの力を借りながらそば栽培を始めることに。




椎葉村は、古くは縄文時代にもさかのぼると言われる焼畑農法が残る数少ない地の一つとして世界農業遺産にも認定されています。私の畑では木や草を刈って敷き詰め、しばらく乾燥させたのち火をつけて草を燃やします。この燃えた後の灰を肥料としてそばを栽培しています。この農法のおかげで、化学肥料や農薬を使わずに済みます。それに、そばはもともと雑草より強い作物で種まきから2~3カ月で収穫できるので、あまり手がかからないんです。店舗で使う全量を賄うことはできないものの、安定的に収量をあげています。





椎葉村に来れない人にも椎葉村を知って欲しい

「蕎麦の実フロランタン」を開発するきっかけは、妻の手作りのフロランタンでした。結婚前からこのフロランタンが大好物だった私は「これを地元椎葉村のそばの実を使って作れないか」と思いたち、自ら作り始めました。

コンセプトとしてイメージしたのは、女性たちが仕事中にお土産のお菓子を配りあってコミュニケーションをとる姿。生のそばだと椎葉村に来ないと食べてもらえませんが、お菓子だったら日持ちするのでお土産として持って行ってもらえる。お菓子をきっかけに椎葉村を知ってもらえると思ったんです

「椎葉村を知るきっかけになるお菓子」というコンセプトから生まれたそばの実フロランタン。それならばと、そば以外の素材も地元産にこだわりました。小麦粉・卵・発酵バター・生クリームも宮崎県産です。砂糖はそのおいしさにほれ込んで沖縄県の波照間島の特級の黒糖を直接仕入れて使っています。



製造は手作り。人手は家族とパート従業員だけで、2019年度は年間5万個を出荷しています。

その甲斐あって、2019年の第8回チームシェフコンクールでは最高賞の審査員特別賞など6つの賞を受賞しました。

http://team-chef.jp/contest_08/

このお菓子を通して。

そばの消費量を向上していくことで蕎麦の生産を上げていき、伝統食である椎葉蕎麦を未来に残していけたらと考えております。ここ数年で少しずつですが当店が取り扱うそばの量も増えてきました。そばの実フロランタンや蕎麦の商品を通して伝統食、農業の消滅を食い止めようと考えております。


最後に

今回は長い内容になってしまいましたが、


〇自粛の中、唯一の楽しみのティータイムをより良い時間にしたい。

〇珍しいお菓子に出会いたい。

といった方にとって少しでも参考になれば幸いです。


菓te-riでは「伝統食の継承とリブランディング」をコンセプトに

田舎で消えゆく農業、食材を次の世代に残すべくお菓子にリブランディングして

多くのお客様に届ける為にお菓子工房を運営して全国の皆様に販売を行っております。

当店の取組が農業をサイクルさせることで持続可能な地域造りを行っています。



最後までお付き合いいただきありがとうございました。

2020年4月7日に立ち上げたばかりのショップですが、これからも皆様のティータイムを

少しでも彩れる、そして笑顔にできるスイーツを皆様に届けていきますので、

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


是非フォローもよろしくお願いします!


菓te-ri 店主 椎葉昌史